第4章 大人の情事
「鈴ちゃん…」
「はいっ?乃々様どうかなさいましたか?」
「ふふふ…」
「な?何ですか??乃々様!!!」
にやにや笑う私に幸村への気持ちを気付かれまいと、懸命に平静を装うとしてる姿がまた可愛い
「鈴ちゃんは、幸村が好きなんだね」
「そ!!そんな!!!滅相もありません!!!」
「そんな否定してもばればれだよ?」
揶揄う私に鈴ちゃんの顔が悲しげに曇る
「幸村様のような方に私みたいな女中…釣り合いませんから…」
「鈴ちゃん…」
「幸村様は信玄様に使える武将です…そのうちとても良い縁談がくるでしょう……」
叶わぬ恋…
揶揄ってしまったことを凄く後悔した
「鈴ちゃん…何も知らなくて…私……ごめんね…」
「乃々様……」
「大丈夫です。私が勝手に恋い慕ってるだけですから。」
鈴ちゃんの手に自分の手を重ねて謝ると、鈴ちゃんはニコッと綺麗な笑顔を浮かべた。
恋もしたこともない私
誰かを想い、恋い焦がれるなんて感情を知りもしない
恋の辛さも分からない
悲しい片思いでも恋を知っている鈴ちゃんが少し羨ましくおもえた