第32章 ー番外編ー
「こ、これが……」
信篤の瞳が大きく見開かれ、その懐剣をまじまじと見つめる
「まさか…代々、内密に受け継がれてきた話が本当だったとは…正直、驚いています」
信篤が晃を見て真剣な顔でつぶやいた
信篤によると武田家には信玄の遺言ということで、代々受け継がれてきた話があり、その話を信篤は晃に語ってくれた
いつか武田の子孫の前に信玄の懐剣を携えた男が現れ
その男に会った時は、懐剣と引き換えに代々受け継いできた箱をその男に渡すこと
これは武田の当主になる者の間で密かに受け継がれてきた話し
信篤も父から聞かされ、その父も父親から聞かされてきた話だった。