第31章 エピローグ
いまだ自分の腕の中に捕らえたままの乃々に身をかがめ、愛らしい唇に口づける。
「急に、何するんですか」
顔を赤くする乃々
「君の方が、急に可愛い顔したんだろ」
「してません!」
「そうだな。急にしたわけじゃなかった。君の顔はどんな時も愛らしい」
「…また、そんなこと言って」
信玄の腕から逃れた乃々が今度は、少し拗ねた顔をしながら、汚れた紙を片付ける
(からかって、機嫌を取って…その時の反応が可愛すぎるから、止めらんねえな)
そんないつまでも変わらない乃々を、信玄は愛おしそうに見つめた