第30章 貴方は私の半分
「明智光秀の名も、全国に轟いているぞ。調略に長けた白狐が安土にいると」
「さすが、情報通の信玄殿ですね。どのように全国に耳を置いているのか、ぜひお聞かせを願いたい」
光秀さんも愉しげに話に応じる。
こっちの席もこっちで、ちょっと物騒な話だけど上手くまとまったみたい。問題は…
「乃々、こちらに来て酌をするが良い」
「あ、はい」
「おい、乃々はもう安土城の世話役じゃねー。しかも、今日の主役だぞ。勝手に使うな」
「幸村、お前…御館様に向かって無礼な…」
「ちょっと、喧嘩は駄目だよ、秀吉さん……っ」
目を鋭く細める秀吉さんを慌てて、止める。