第29章 過去へ

私の視線に気づいたのか、謙信様が冷ややかにこちらを見る。

｢わざわざ乱世に戻ってくるとは、物好きな女だ｣

｢お久しぶりです、謙信様｣

そんな冷ややかな視線も軽くかわして、笑顔で応えた

｢ああ」

素っ気ない一言が、かえって謙信様らしい

佐助くんが、謙信様の前に立つ。

｢謙信様、ただいま戻りました｣

｢遅い。当分はお前に休みはないものと思え。｣

離れていたぎこちなさもなく言葉を交わす四人を見ていると、心が温まった。