第25章 未来へ
晃の言葉に乃々の顔がみるみる歪み、大粒の涙がポロポロと溢れ頬をつたう
「あ、あり…がと…う…」
溢れ出る涙を両手で一生懸命拭い、心の底から晃に感謝する乃々。
横にいる信玄もほっとすると、姿勢を正して『かたじけない』と深々とお辞儀した。
「だけど、乃々、分かってると思うが、その病気が治るかどうかは、検査しないと保障はできないからな。」
「…うん。分かってる…」
そのことは、乃々も信玄も覚悟のうえでこの時代に来ている。
もしかしたら治せるような病気ではないかもしれない。
それでも、少しでも可能性があるなら…
その思いでタイムスリップして来たのだ。
「じゃあ…これからのことについて話し合おうか。」
「はい…!」
どんな病気かわからない不安はあったが、それよりも明るい未来へまた一歩近づけたことを素直に喜んだ
(どうか…信玄様が良くなりますように…)
心からそう願い、これから始まるもう一つの戦いに覚悟を決めたのだった