第23章 最後の戦い
「少人数の奇襲で最大の効果を上げるには、敵の士気を下げてやればいい。総大将である俺自ら斬り込めば、後ろに大軍が控えていると勘違いした敵は、浮き足立つ」
「なるほど、はったりをかますってことか」
政宗が顎に手をやりながら頷いていると
信玄が、何かを試すように信長の顔に視線をあてる。
「ずいぶんと、あの子の救出に熱心だな、信長」
「当然のことだ。織田軍にとっても、あの女を失うことは損失だ。手当を受けた兵の士気が下がる」
飄々と答える信長を目を細め見つめる信玄
「……それだけか?」
「何が言いたい?」
悠然と信長が尋ね返したところに、謙信が気だるげに口を出す。
「お前ら、抜け駆けするな。俺も今日の戦では暴れ足りていない。総大将という条件ならば俺も当てはまるはずだ。精鋭とやらに混ぜてもらうぞ」