第22章 裏切りと同盟
「…随分、ひどい顔してるけど…」
家康が私の顔を覗き込む
「えっ?…そお?…ちょっと…忙しかったから……
それより…これからどうなるのかな?」
このまま戦が長引いたらどうしよう…
信玄様の怪我も気になるし…
「…織田軍もあっちも、結構な被害だ。戦を続ければ泥沼になるだろうね。……乃々…あんた、一体誰の心配…」
家康が言いかけたその時、にわかに本陣の前に控えていた兵たちが、騒がしくなった。
「何事だ」
奥にいた信長様も気が付いて、出てくる。
慌てた様子でひとりの兵が、本陣へ駆けこんでくる。
「申し上げます! 武田信玄が真田幸村一騎だけを連れ、この本陣へ近付いています」
信玄様がっ?!