第21章 二人の想いは一つに
「乃々。」
不意に身体を離され、信玄様を見つめる
「俺は、やりたいことをやって、生を全うしたかった」
「やりたいこと…」
「甘いものを食べ、魅力的な女を口説き、そして…大切な仲間が幸せになる将来を叶える。……それだけで、いいと思ってたんだがなあ」
「…信玄様…?」
吐息混じりの言葉にドキリとして、信玄様を見つめる。
「俺は愛する者は作らないって、心に決めてた。病で弱る姿を見せたくなかったし、いずれその女をひとりで残すことになるとわかってたからだ」
「っ…だから、あの時、私を安土へ返したんですか?」
「そうだ。俺は戦に勝とうが負けようが、もうすぐ死ぬ。君が安土城にいれば、少なくとも甲斐の国で起こす戦に巻き込まれることはない。そう判断した」
私のことまで考えてくれてたんだ…