第20章 貴方のもとへ
しん…と静まり返った天幕の中で、沈黙が私達の距離を遠ざける
信玄様の信念の方が私の思いより…何倍…何十倍も…強いんだ
……無理なの?
私じゃ、貴方を救えないの…?
私じゃ、貴方の生きる理由になれないの…?
信玄様の信念を突きつけられ…今度は私が俯いた
「…では…せめて最後の時まで…側に…置いてください」
もう、このまま500年後に帰るなんてできない
こんな気持ちを抱たまま、貴方のいない時代で普通に生きていくなんてできないよ…
消え入りそうな声で懇願すると
「…乃々……。これは、俺の運命だ。君が背負うものは何もない。ただ、受け入れるだけでいいんだ。」
信玄様の言葉に堪えていた涙が溢れる
「…別れもまた運命。」
別れ…
私の一縷の願いも、残酷なその一言に崩れさった