第20章 貴方のもとへ
間もなく武田・上杉軍到着の報が知らされると……
山のふもとにある広い野原は、たちまち戦場となった。
「乃々様、仲間が撃たれて、怪我を……」
「っ、動かさないで。すぐに止血します」
「ありがとうございます……!」
私は戦場の後方で、絶えず運びこまれる怪我人の手当てをしていた。
段々、怪我人の数が増えてる。戦況が激しくなってるんだ。
信長様、信玄様両陣営の無事も気になる
今まさにぶつかっている両軍の武将たちのどちらも、私にとって大切な存在だ。
誰も欠けたりしないように祈りながら、私は怪我人の手当てに駆けまわった。