第19章 真実
「そうか…。ついに織田軍にも情報が行ってしまったんだな」
俯く佐助くんの顔が曇る
「黙ってて、ごめん」
「ううん、いいの。しょうがないよ。…気づくチャンスはいっぱいあったのに…」
情けない…
佐助くんは、静かに首を横に振った。
「気付けなかったのは、無理もない。信玄様は、意地でも君に知られないようにしてたからな」
「…そうなの?」
「ああ。病のことは、もともと春日山城でも限られた人間しか知らない秘密だった。自分の病のせいで士気が下がるのも、みんなに不安を煽るのも嫌だと主張していたから…」
自分が苦しい時まで、みんなのこと考えるなんて…
一人で全てを抱えてたんだ…
その孤独を考えると鼻の奥がツンッとする