第19章 真実
「命尽きる前に、俺の喉笛に喰らいつく気か。面白い」
信長様の先の先まで見通すような声が広間に響く
「家康、信玄と謙信の動向はどうなっている?」
「戦の準備を、間もなく終わらせようとしています。先発隊はすでに越後を発ち、奴らの目標は–––甲斐の国です」
甲斐の国って…信玄様の故郷…
家康の言葉に、信玄様が故郷を取り戻そうとしてるんだと改めて思う
命をかけて…
「もう一つ…よろしいですか?」
光秀さんがチラリと私に目をやり、信長様に続けて話す
「なんだ光秀」
「実は、顕如が乃々を狙っているという報せがありました」
え…?
私…?
「乃々が信長様の寵姫であるのを嗅ぎつけ、人質にとろうとしてるようです」