第19章 真実
胸がザワザワと騒めきだし、手には冷や汗が滲む
どうして?
どうして何も言ってくれなかったの?
信玄様と過ごした日々の中で、信玄様に時折感じた儚さ…
あれは錯覚なんかじゃなかった
信玄様自身が生み出していたものだと、今更悟る
どうして気づかなかった?
どうして気付けなかった?
気づくチャンスはあったはず
繰り返す自問自答の中で、いくつかの伏線を思い出した。
言葉のどこかに見え隠れする、未来が見えない言葉の数々
何かを諦めたような物言い
あの時ーーー
部屋で苦しそうにしていた信玄様
どうしてあの時、もっとちゃんと聞かなかったんだろう
もしかしたら…気づけたかもしれない…
次から次へと押し寄せる後悔の念
その後悔に押し潰されそうになる