第1章 甲斐の虎
恐る恐る信長様の方を見る…
と…
「あれだけ童の様に泣いていたのが嘘のようだな」
「の、乃々!!全くお前って奴は…はぁ…」
脇息に持たれながら笑う信長様を見て、秀吉さんが安堵のため息ついた
「して、光秀。何か分かったか?」
「はい。昨日現れたのは間違いなく、越後の龍と甲斐の虎で間違いないでしょう。」
すぐにいつもの信長様に戻ると、光秀さんに報告を受けると嬉々として笑い出した。
「やはり、武田信玄と上杉謙信…生きておったか。あの死に損ないめ。楽しませてくれるわ。」
武田信玄と上杉謙信といえば、織田信長のライバル…
そんな2人が生きてるって分かって喜ぶなんて…
この人はとことん戦国武将だ
細く笑む信長様を見て呆れる
あの…軽い男(ひと)が武田信玄なんだ…
城下で出逢った、色めいた男と
戦場で出逢った、獣めいた男が
私の中で重なる
「光秀。引き続き情報を探れ」
「御意」
いつもいないけど、光秀さんも裏で色々動いてるんだ…