第17章 隠された半月、半分の心
首元に埋められた信玄様の頭にそっと手を添えて抱きしめる…
…時が止まったように、私たちは抱きしめ合った
永遠に続くようにも思えた時の中で、信玄様の身体が私からそっと離れていって…
「…信玄様…?」
見上げる私に信玄様が困ったように笑い
「…すまない……もう…君を泣かせたくない」
私の目尻の涙を優しく拭った
「…おやすみ、俺の天女」
離れていくその手を掴んで、『行かないで』と言えたら…
その想いを貫くことも出来ず、一線を超えることも拒絶されたようにも感じられ、私は去ってゆく信玄様を見つめるしかなかった