第17章 隠された半月、半分の心
あぁ…この人は、どうしてこんなに女たらしなんだろう…
こんな風に言われたら、抵抗できなくなってしまう
信玄様の色っぽい瞳と甘い囁きに抗えない子供の自分が情けなくなる
深い色をした眼差しに囚われて、身動きできないでいると
信玄様が低い声で笑った。
「今日はよく晴れてる。きっと、夜は月が綺麗だろう。君と一緒に、久し振りに月見をしたいな」
「月見……? じゃあ、夜這いっていうのは……」
「ちょっとした言葉のあやだ。もちろん、君さえよければ、手順を省いて褥にお連れしよう」
悪びれず言う信玄様に、呆然とする。
(もう、この人は……!)
「なんで、おかしな誘い方、するんですか……っ」
「そうだなー」
信玄様は少し考える素振りをしてから、口を開いた。
「離れてる間、君に俺のことを考えててほしいから……。……って言ったら、どうする?」
「どうする、って……」
私は…もう…いつでも、貴方のことを考えてるのに…