第1章 甲斐の虎
「乃々!!ちょっとこっち来て!手伝って!!!」
家康に呼ばれ一緒に治療に当たる
「うぅ…」
激痛に顔をしかめる兵
顔を見れば歳はまだ十代半ばぐらいの子…
中学生くらい?
そのあどけない顔に衝撃を受ける
傷を見ると、太腿を刺されたのだろうか大きな傷があった
そこからとめどなく大量の血が流れている
「大動脈までいってる…!!」
どうしよう!!このままじゃ出血多量で死んじゃう!!!
あどけない顔がどんどん青ざめていく
止血!!止血しないと!!!
このままじゃ死んじゃう!!!
傷ついた太腿に布を巻きつけ、そこに棒を差し込み布をキツく捻りあげる
「ゆ…誰か!輸血の準備して…!!!」
………
私の叫びは虚しく空を切った…
輸血…
輸血なんて…あるわけないん…だ…
一気に現実に引き戻される
ど、どうしよう…!!