第13章 戦の駒
「だったら…そんな信念を持ってる人がどうしてこんなことするの?」
なんでこんな卑怯な真似してまで…
「……それは…言えねー」
口を閉ざした幸村を見て、馬鹿にされた気分になる
「…理由も言えないで、あーだこーだ言われて、はいそうですかって納得できると思ってるの?」
「…………」
幸村を助けるように、今度は佐助くんが口を開いた
「乃々さん…急に戦の駒にされて、戸惑う君の気持ちもわかる。でも…手段を選んでいられなかった、信玄様の事情も俺は分かってるつもりだ。その理由を君に明かすことはできないけど、せめて僕からも君に謝らせてほしい…」
佐助くんもそう言って、私に頭を下げた
佐助くんまで…
「…佐助くんも信玄様を信じてるの?」
「あぁ…信玄様は本心を見せる人ではないけど、仲間への想いは誰よりも強くて深い人だから」
佐助くんが真っ直ぐ私を見つめ、その真摯な眼差しが黒く濁った私の心に突き刺さる