第8章 未来への帰り道
翌朝、目が覚めてから薬学の勉強をしていても
昨晩の信玄様のことを思い出すと気持ちが騒つい集中できない
それじゃなくても字が読めないのに
集中できないと余計に読めない…
これじゃダメだ…
少し外の空気でも吸おう…
そう思って部屋から出ると、庭へ気分転換に向かう
廊下を行くと、向こうから佐助くんと幸村の姿が見えた。
「やぁ、乃々さん。昨日は大活躍だったね」
「お前が謙信様に楯突いた時はどうなるかと思ったけど…お前、さすが信長の女だけのことあるな!」
「だから!!!私は誰の女でもありません!!!」
この人、まだ私のこと信長様の女だと思ってる!
「しかし謙信様にお酌されたってことは、謙信様に認められたってことだよ。すごいよ、乃々さん!」
「そ、そうなの?」
あんな態度とったのに、それを気に入るとか…
謙信様はやっぱり変わってる。
まぁ、そもそもむやみやたらに刀を突きつけること自体、異常だけど…
肩に置かれた白刃を思い出して苦笑した
「ところで、昨日途中から乃々さんと信玄様の姿が見えなかったけど…何かあった?」
佐助くんのメガネがキラリと光る
すっ…鋭い!!!
さすが謙信様の右腕の軒猿なだけある…