第6章 宴にて
鈴ちゃんと別れ、一人部屋に戻ると
宴が始まるまでの間、信玄様から渡された本を開いた
おそらく
一冊は植物図鑑の本
もう一冊は薬学の本
そして御伽草紙の本
まずは御伽草紙の本を開くと、子供向けなのか『おとぎ話』が書かれていた
読んでみると、たどたどしくだけど何とか読める
信玄様なんでこんな本渡したんだろう?
私のこと子供だと思ってるのかな?
でも崩し文字も少なくて読みやすいし、読めない文字も物語だから雰囲気で読める
私レベルの子が字を覚えるにはちょうど良かった
もしかして…気遣ってくれたのかな
字の練習もしたいけど…
墨で着物汚しちゃ大変だよね
ここは我慢我慢
勉強の虫が騒ぐのを堪え、物語を読む
空がだんだんと青から橙色へ色を変え始めていた