第1章 ファットの彼女さん
「そーなんだけど」
仁王立ちの名とまずそうな顔をするファットガム。
「なにその姿」
「・・・お前こっちの方が好きやろ」
「好きとか嫌いとかの問題やないやろ」
「久々強かってん、しゃーないやん」
「しゃーないで済んだら警察いらんねん!!」
「はいはい!悪ーございました!名に連絡入れんかったんで怒ってんのはよう分かった!分かったから許して?」
と可愛くねだるファットガムに対して
「許してたまるかー!」
とキレる名とのやり取りに呆れる天喰とあっけにとられる切島。
「名さん」
そんな中、天喰が声をかけると名がはっとして
「わわ、ごめん。今ご飯だすわ」
と台所に戻り、その後を切島が手伝います!と追いかける。
そこにすすっと天喰のところにファットガムがきて
「環ありがとな」
「いえ」
と交わす。
そして、机には切島が料理を運び、運び、運び。
机いっぱいの料理がならんだ。
「すげぇぇぇぇ!これ全部名さんが作ったんスか?!」
「ありがとう!足りなかったら追加で作るよー!」
「名の飯は上手いでー」
と名の肩をポンポン叩くファットガム。
切島はその横でまだ怒ってる名を感じたが、嬉しそうにするファットガムの横顔を見た名の表情が瞬間ふにゃっとしたのを見逃さなかった。
「ほら、食べて食べて。」
「はいっ!頂きます!!」
そして始まった食事。
「ファットと付き合い長いんスねー!」
「この人痩せてる時イケメンでしょー!」
「こんな俺も拾ってくれたし」
「切島君は華々しいデビューでな」
食事はあっという間に終わってしまい
「じゃーなー!!」
「また食べに来てねー!」
とお開きになる。
「ご馳走様でした」
「飯旨かったです!ありがとうございました!!」
事務所前、ファットとならぶ名の姿。
「あの2人仲直りしてましたね!!」
「いつもあんな調子だ。ファットが名さんに心配させないように連絡入れなくて」
「痩せて帰ってきてバレちゃうんスね」
「そう、で怒られる。」
「なんつーか、あれっスね。ラブラブっスね!!」
「本人達にも言ってあげると良い」
そうやって帰って行く2人の様を見届けるファットガムと名はまさに夫婦の様な立ち姿だった。