第15章 地球を担ぐ者
放ったのは一松だった。
「カラ松に言われたこと、忘れたの?見た目で判断しない方がいいよ」
「十四松をなめない方がいいぜ。それに、これ以上笑うなら俺は目を開く」
側にいた客がテーブルを用意した。大男はうつ伏せになってちょうどいい感じになった。
「十四松と言ったな。俺はタイタンだ」
「タイタン?!確か地球を肩に担いでるって信じられてた、あの?!」
「ほう、兄ちゃんよく知ってるな。そのタイタンだ」
タイタンと十四松の体格差は、4階建てのビルと幼稚園児くらいある。
「あは!相手にとって不足なしだね!じゃあ僕も本気を出すよ!」
十四松は着ていた服を脱いだ。いつもダブダブの服を着ているから分かりにくいが、その服の下に隠れているのは筋肉隆々の体だ。酒場に感心のため息が起こる。
「おおー……!」
タイタンと十四松が手を組んだ。とは言うものの、タイタンの手は大きいので、人差し指が十四松の手にはちょうどよかった。
「いくぞ?レディー………ゴゥ!!」
初めは手加減していたタイタンだったが、十四松も力を入れていないと分かると、力を入れ始めた。
一気にテーブルギリギリまで倒される十四松。タイタンは不敵な笑みを浮かべた。しかし。
「むっ?!ぬぅううーー!!」
あと数センチでテーブルに手がつくというのに、そこから全く動かない。次第にタイタンの顔は、真っ赤になった。ついには両手を使ってみたが、その小さな手はびくともしない。
「あははー!!負ける気しなーい!!いっくよー!よいしょー!!」
十四松が力を入れると、一気に逆転してあっという間にタイタンの手はテーブルについた。
「イェー!ビクトリー!!」
「わおわおわーお!!グレイトだぜ、じゅうしまぁーつ!!」
「すっげー!!」
「さすが十四松」
「勝ったねー!」
「すごいわ、十四松!」
「あははー!ありが盗塁王!!」
「参ったぜ、十四松!お前たちがクラーケンを倒したら、向こう岸まで届けると約束しよう!」
「おっし、行くか!」
海に出たおそ松たち。だが海はクラーケンなどいないとでも言うかのように穏やかだ。
「ほんとにいんの?」
「海の真ん中まで行ってみれば分かる」
「あ、そ。んじゃ、ちょっくら下がっててよ?」
側にいた街の住民たちと仲間たちを離れさせ、ロック鳥になるおそ松。