第15章 地球を担ぐ者
「っ!!そ、そんなことは……!」
「だったらそんなにうろたえなくても、いいだろう?声が震えてるぜ」
「こ、これは元々だ!」
「いいや、そんなはずはない。俺が洞窟について聞いた時は、声は震えていなかった」
「あ、あれは俺じゃない。兄貴なんだ。そっくりだろ?双子でな」
ダン!!
カラ松がカウンターを叩く音が響いた。
「ふざけるなよ?俺がレッドアイ族だから、そう言えば騙せるとでも思ったか?生憎だがな、レッドアイ族だからこそ、分かることもあるんだぜ。それにお前、俺たちを見て驚いたろう?体が跳ねてたぜ」
すると店主は諦めたようにため息をついた。
「はぁ、参ったな。負けたよ、あんたには。洞窟、行ったんだろ?宝石が落ちてたはずだ。俺たちはあれを拾って生計を立ててるんだ。あんたらに拾われちゃならないと思って、あんなことを言ったんだ」
「………あの宝石が何で出来てるかは、知らないんだな?」
「奥の方はそれこそ化け物がいるってはなs」
「いいか、貴様。化け物ってのはな、心まで腐った奴のことを言うんだ!外見だけで、その能力だけで勝手に判断してんじゃねぇぞ!」
「ひっ!!わ、分かったよ、悪かった。ところで戻ってきたのには、理由があるんだろ?」
おそ松がひょっこり顔を出す。
「誰か船、貸してくれないかなーって思ってさ」
とたんに店内がざわついた。
「海を渡るのか?」
「もち!ストーグロックに行くんだ!」
「ストーグロック?」
「うん。俺の母さんの病を治してもらいにね」
「争いのない世界にしてもらうー!」
「カラぴが目を開いて世界を見られるように」
「船を出すなら、クラーケンを何とかしないとな」
「クラーケンって、イカかタコかのでっかい奴?」
「ああ。あいつは船を襲うからな。俺たちも手出しできないんだ。倒してくれたら、考えてやるよ」
すると奥にいた男が立ち上がった。その体はストーグロックのように大きい。
「船はねぇが、クラーケンを倒せたら、俺がお前たちを運んでやる。俺との力比べに勝ったらな」
「はぁ?!こんなでっかいおっさんに勝てるわけ、ねぇじゃん!!」
「はいはいはーい!僕がやる!」
十四松が名乗りをあげると、酒場中に笑い声があがった。
「おいおい、チビ!本気か?」
「お前なんて、一瞬だぞ?」
その中心に、矢がささった。
