第4章 森を統べる王
「父上、連れて来ました」
「うむ。そなた、名はなんと言う?」
「レプリコーンの十四松です!」
「えっ?!レプリコーン?!っはは。レプリコーンが弓矢なんか、使えたんだ?」
「これ、チョロ松!多種族を馬鹿にするのは、お前の悪い癖だ」
十四松は王に事の経緯を話した。
「あの、ゼムアって知ってますか?」
「ゼムアは僕の、兄さんだ」
「うむ。ゼムアは優秀な魔法使いだったが、その魔法で仲間を死なせてしまってな。城を飛び出して、そのままなのだ」
「僕、そのゼムアに弓矢を教えてもらいました」
するとチョロ松が十四松の肩をつかんだ。
「兄さんはどこ?!」
「僕も聞きたい。気づいたら、いなくなってた」
がっくりとうなだれるチョロ松。と、玉座の間のドアがノックされた。
「先ほどの男が、目覚めました」
十四松はパァッと顔を輝かせて、おそ松を迎えに行った。
「おそ松兄さん!もう大丈夫なの?!」
「ああ、おかげさまでね。ライジング、サンキューな」
「だから、ライジングじゃないって!」
王は玉座から降り、おそ松にかしずいた。
「この度は私の愚息が、大変なご迷惑をおかけしました」
「え?!や、いいって、いいって!俺も、気づいたら体が動いてたんだ」
「ですが、闇エルフの矢は毒が塗られています。愚息の早急な回復魔法がお役に立って、何よりでした」
「もう、いいって。頭上げてよ。居たたまれないって」
「それにしても、こんなところまで来るんだ。何か理由があるんだろ?」
「これ、チョロ松!言葉遣いを、慎みなさい!」
「いいってば。俺たちは、ストーグロックに行くところなんだ」
「ストーグロック?!神がおわすあの山に?!……あっははは!無理、無理!」
「無理でも何でも、行かなきゃならねぇんだ!母さんの命が、かかってんだよ!!俺の母さん、倒れちゃって…。でも人間だからさ、仲間たちにも治し方、分かんなくて…。どれだけかかるか分かんなくても、行かなきゃならねぇんだ」
「人間?!……そうでしたか。時に十四松様」
「十四松でいいよ!」
「弓矢をゼムアに教わったとのこと。もしかすると、あれを使えるやも知れません」
王は側近に命じて、美しい装飾が施された弓を持って来させた。
「これは我々森エルフ族に伝わる、勇者の弓です。これを引いてみて下さい」