第6章 願い叶えて
「舞ねーちゃんっ!!」
「来てくれたの!?すんげー嬉しい!!」
翌日、私は東体大の記録会を訪れた。
グラウンドに入る私を見つけるなり、ジョータくんとジョージくんがすごい勢いでダッシュして来る。
「久しぶり。みんなごめんね、心配かけて」
「んなことは全然いいんだけどさ、ユキさんと喧嘩でもしてたの?」
「え?あぁ…、うん」
単刀直入に聞いてくるジョータくんに、ひとまず曖昧に頷く。
「まあいいじゃないですか。舞さんが応援に来てくれたなら、百人力ですよ」
流暢な日本語で気遣ってくれるムサくん。
目が合うと柔らかく微笑んでくれる。
「僕ら三人、今回は応援なんです。みんなは今ウォームアップを」
視線の先には、黒いユニフォームを着た寛政大のメンバー。
「ユキさーん!舞ねーちゃんだよ!」
ジョージくんの声で全員が一斉にこちらを向く。
「舞ちゃん!」
「久しぶり!待ってたんだぜ!」
ハイジくん、キングくんがまず声を掛けてくれる。
他のメンバーもウォームアップを中断してまで駆け寄って来てくれた。
「みんな、沢山気を遣わせちゃってごめんなさい。応援することしかできないけど、今日からまたよろしくね」
「何言ってるんだよ。舞ちゃんの応援がどれだけありがたいか」
受け入れてくれるハイジくんの温かい言葉に、何だか涙が出そうになる。
「ハイジの言うとおりだな」
「よーっし!やる気出てきた!」
先輩、キングくん。
「頑張ってきますね!」
涙の雨の日を乗り超えて、走り続ける神童くん。
「舞さん何かあったんですか?」
「カケルはもう黙って。あ、舞さん。雪人先輩の新刊買ったんで貸しますよ」
「ほんと?ありがとう!」
カケルくんと王子くん。
「漫画の貸し借りなんかしてんの?お前ら。つか誰だよ雪人先輩」
「えへっ、私の推しキャラ」
「へー。ま、いいや。見てろよ、舞。絶対公認記録出すから」
「うん。見てる」
ユキくんと、しっかり目と目が合う。
こうして話せることが嬉しい。
私の顔を見て笑ってくれることが、幸せ。
頑張って。
ユキくん、みんな。