第2章 弐
手で顔を覆っても指の隙間からどんどん涙が溢れる。
それだけにとって杏寿郎の存在が大きかった。
初任務でまだ力も上手く使いこなせず、心も体もボロボロになって帰ってきたを杏寿郎か見つけたのが始まりだった。
杏「鬼殺隊士がそんな浮かない顔をしてどうする!!」
燃えるような髪の色、どこを見ているのか分からない大きな瞳、凛としたハリのある声。
が杏寿郎に抱いた第一印象は見た目通りの人。
『自分がもっと強ければ仲間達は死なずに済んだかもしれないのに…不甲斐なくて…』
何色にも染まらなかった鋼色の刃先を眺めぽつりと呟く。
頭によぎるのは先程まで共に戦っていた仲間の悲痛な声。
「いやぁっ!!助けてっ…助けてぇっ!!!」
鬼に喰われてしまう所をただ呆然と見つめることしかできなかった。
恐怖で脚がすくんでしまったのだ。