第4章 肆
どのくらい泣いていたのだろう、辺りはすっかり明るくなっていて眩しかった。
ずっと止まらなかった涙も不思議と今は止んでいる。
泣きすぎてぼんやりとする、ふらりと立ち上がり袖で涙を拭う。
『貴方が私の師でよかったです。』
最後の勇姿を見ることは出来なかったけれど、貴方の事だからきっとかっこよかったでしょうね。
そんな貴方を師として、人として私も誇りに思います。
『長くお待たせしてすみません。隠しの皆さん、師範を煉獄邸までお願いします。』
即座に数名の隠しが現れてに一礼する。
丁寧な動作で杏寿郎を運ぶまでの過程をぼんやりと眺めながら、愼寿郎や千寿郎の心配をする。
愼寿郎さまは、きっと、大丈夫。
ただ、兄としてずっと慕っていた千寿郎くんの心の傷は計り知れないものだろう。
幼くして母を亡くし、父である愼寿郎は酒に溺れ元柱としての面影は無いに等しい。
急いで戻ろう。
今は千寿郎くんのそばにいてあげなければ、この場は隠しの人に任せて一足先に煉獄邸へと向かう。