第42章 新しい命
それから半年後。
1月だった。
私は上杉家の姫として、真田幸村に嫁いだ。
謙信様の計らいだった。
嫁入り道具も謙信様が用意してくれた。
最初は怖かった謙信様もその時には、鈍い優しさがあることがわかっていた。
まあ、でもそこからもあまり関係なく今まで通り春日山城に住むので、大して変わりはなかった。
少し変わったのは、私専用の部屋が出来たことだ。
寝る場所は幸村の部屋だけど。
そしてそこから更に半年後。
幸村の誕生日を終えたばかりのころだった。
「奥方様、医者に見ていただいてはどうですか?」
「そこまででは無いよ、華奈。」
華奈は私が嫁いだ時に、一緒についてきてくれたのだ。
「ですが、ここ数日、ずっとこの調子ではないですか!」
「大丈夫だって。数日すれば治るから。」
ここ最近、ずっとけだるさが続いていた。
「だめです!今日こそ見て頂きます!」
ということでお医者さんに見てもらうことになった。
「では、脈みるので、腕をお貸しください。」
「はい。」
そう言ってお医者さんは私の脈を測る。
「ね?なにもないでしょ?ただの風邪だよ。」
「奥方様!」
お医者さんが笑っていた。
「…なにかありましたか?」
「おめでとうございます!おめでたでございます!」
「…おめ、でた?」
「はい!間違いありません!ややこがおられます!」
「奥方様、おめでとうございます!」
「え、ええ。ありがとう。ちょっと、華奈以外下がりなさい。お医者様をお見送りして差し上げて。」
「はい。ではこれにて失礼いたします。」