第4章 顔合わせの夕餉
実は、私はここ数日ずっと部屋に引きこもっていた。なぜなら、人見知りが発動しているから。佐助さんとは打ち解けて来たもののまだ、女中さんなどとは全くしゃべれない。しかし、居候させてもらっている手前城主には挨拶するべきだと言うことで、今夜、上杉謙信、武田信玄、真田幸村、佐助さんと夕餉を一緒に頂くことになった。
(うぅ、緊張する。)
いつもは部屋に引きこもっているため、洋服でいるのだが、今日は着物を着る。着物は女中さんに手伝ってもらったのでこの機会に仲良くなろうと声をかけようとすると、うまく声が出ず、「あっあの えっと」としか出ずに、怪訝な顔をされた。チーン 。あれやこれやと着ていると、着終わった頃には丁度約束の時間だった。
「失礼します。」
「入れ」
「お初にお目にかかります。弥生と申します。」
「面をあげよ」
「はい」
顔をあげると目の前にいるのは左右眼の色が違う人だった。すると佐助が、
「弥生さん、よくそんな礼儀作法知っているね」と言ってきた。
「うん、前に本で読んだからね」