第4章 Cloudy will be Fine
だが目の前の上官はそんな憂いをも吹き飛ばすかのように軽やかに笑った。
「それを知った上で、ここにいる隊士全員が副隊長にはおまえしか考えられないと言っているんだよ」
「隊長……」
胸がつまる想いだった。意気地のない自分の背中を優しく押してくれる隊長にも、その後ろで力強く微笑む仲間たちにも。
「おまえに黙って話を広めてしまったことは悪かった。ただ……もしもおまえが自分の席位を気に病んで昇格を躊躇っているのなら、そんな必要は全くないということだけはわかっていてほしい」
「そうよー! そんなくっだらないことで悩んだりしたら根性叩きなおすかんねっ」
浮竹の後ろからひょこっと顔を出した清音は、そう言って握り拳を作ってみせる。気を抜けば泣きだしてしまいそうで沙羅は笑った。
「……ありがとう」
結局「もう一度ゆっくり考えてみろ」という浮竹の計らいによって明確な結論を出すことなくその場は解散となった。
沙羅は浮竹や隊士たちに深々と頭をさげ、隊舎をあとにした。
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