第15章 大好き
越中から安土までの道のりは野宿を避け
途中で旅籠に寄り葉月を休ませながらゆっくりと帰った
『家康っ!』
「ただいま葉月」
安土城下にある家康の後殿に帰って半月
葉月は城から帰ってきた家康を出迎えた
「走ったら危ないでしょ体調は?」
『家康と離れて寂しくて体調崩しちゃっただけ
だからね家康のところに帰れて治ったよ』
「・・・・・そう」
『家康?』
ふいっと葉月から視線をはずし
そっぽを向く家康の横顔が仄かに朱く染まっていた
「葉月の体調が治ったなら宴を開くって信長様が張り切ってたよ」
『ふふふ、兄さまったら』
「はあ・・・・・ほんとめんどくさい」
『家康、今日の夕餉は私も手伝ったの』
「じゃあ今日はちゃんと味あわないとね」
『唐辛子は無しね』
「わかってる」
にこにこと二人で廊下を進み家康の部屋に向かった