第13章 俺のものになれ
太陽が西の空に沈み始めた頃
先に出発していた信玄と幸村達が張った野営地に到着した
「着いたぞ葉月」
眠る葉月の頬にかかる髪を優しく梳くと
ピクリと瞼が震え微かに瞳を開き
ぼんやりと謙信の顔を見つめた
葉月を抱きおろし馬を兵に預け
信玄が待つ天幕へと歩いて行く
「着いたか謙信」
「戦況は?」
信玄に声をかけながら胡坐をかき
膝の上に葉月を乗せた
「参謀は石田三成、地形をうまく使い敵に被害を与えている」
「伊達なんか嬉々として斬り込んでたな~」
夢うつつに話を聞きながら微睡んでいた葉月は
寒さを感じ謙信に擦り寄った
「葉月?寒いのか?」
「顔が赤いな・・・
体調が悪化したんじゃないのか謙信」
「・・・・信玄、明日の明朝立つ」
「左手奥の天幕を使え」
葉月を抱いて立ち上がった謙信にそう言うと無言で出て行った
『け・・んし・・さま・・・・』
「喋るな寝ていろ」
宛がわれた天幕に入り自分が着ていた羽織りを
葉月の体に巻きつけぎゅっと抱き込み謙信は夜を過ごした