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兄は戦国武将〈イケメン戦国〉

第2章 家出


誘拐事件から五年、兄さまから外出は禁止され
また部屋から庭を見つめる退屈な日々を過ごしていた


「姫様。兄上様からお手が紙届いております」


『兄さまから?一体何様でしょうか?』


最後に兄さまに会ったのは外出を禁止された日
その日から兄さまは舘に足を運ばなくなった
寂しく思うが私も小さい童ではない
いつまでも兄さまに甘えるわけにはいかない。と
我が儘も言わず大人しく舘で過ごしていた
手紙も送られてくれば返事を返す程度でこちらからは出したことは無かった
その手紙も一年に一度あるか無いかくらいだが
今年は珍しくこれで二回目だった


一度目は"元気にしているか"と
いつもの定型文の機嫌伺の手紙
そして今回の二度目の手紙には・・・・・


『は・・・・・?』


"嫁ぎ先が決まった"とそして
"一月後に迎えをよこす"と書かれていた


「姫様?如何致しましたか?」


手紙を持った手が怒りにプルプル震えているのをみて
女中が声を掛けてきた


『何でもありません』


怒りのあまり歪みそうになる顔に
慌てて微笑みを浮かべた


『兄さまにお返事を書かなくてはね』


「はい。では私はこれで失礼いたします」


女中の足音が遠ざかり辺りに人の気配が無くなった


『何故?なぜ私が見たことない男と結婚しなくてはいけないの?
確かに!この時代では二十歳の私は売れ残り・・・
だからと言って兄さまの都合で勝手に結婚なんか決められたくはない!
決めましたっ・・・家出をしましょう!?』


すくっと立ち上がり衣装箪笥に手を伸ばす
いつかこんな日が来るかもしれないと用意してあった
簡素な着物に素早く着替え善は急げと庭に飛び出し
抜け道を通り舘を飛び出した


『さようなら兄さま
今日でお姫様はお終いにします。
今から私は葉月に戻ります!!?』


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