第10章 違います
「何故、家康様の後殿なんでしょうか?」
今まで静観していた三成が小首を傾げて疑問を口にした
「そうだなこの場合
本来なら安土城に住むのが妥当だろうな」
「なあ、何でなんだ家康?」
にやにやと笑いながら光秀と政宗が家康を見る
その視線を家康は鬱陶しそうに眉間に皺を寄せ無視をした
「館に帰れとは言わない。安土城に住め」
『家康の後殿が駄目ならば私は安土を出ていきます。
道中狙われるかもしれません。私何故かよく誘拐されますし
今度は本当に殺されるかも知れませんね。ああ、でも信長さまの妹と知られれば生かされるかも。
その場合は人質にされたあげく慰めものにされるでしょうけども。
そこのところ皆さまはどう思われますか?』
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
にっっこりと笑顔で捲し立てれば
広間にいる武将たちピシッと固まった
「・・・分かった家康の御殿にいることを認める」
『分かって頂けた様で嬉しゅうございます』
勝利を手にし勝ち誇った笑みを浮かべた
やっと家康は定位置に座りその横に葉月も座った
「え~・・・信長様、話を戻してもよろしいでしょうか?」
「ああ、続けろ」
コホンッと咳ばらいを一つし秀吉は葉月を見た
「お市様・・・・とお呼びしても宜しいですか?」
『そうですね・・・・まあいいでしょう構いません』
「では、お市様
賊に心当たりがあるとのことでしたがお聞きしても?」
秀吉の質問で広間の空気が一変し
皆が葉月に注目をした
『はい。あの時見た賊は
袈裟を着ていて、顔に斜めに走る刀傷がございました』