第5章 お断り
「葉月っ!
お前な~心配させんじゃねぇよ!!」
「まあ、幸村さまから
初めて名前を呼んで頂きました」
宿につくと幸村が怒鳴ってきたが
名前を呼ばれたことにコロコロと笑って喜ぶと
幸村は力が抜けるようにがっくりと項垂れた
「昨日の夜、大変だったんだぞ」
「謙信の奴が何時にも増して
ピリピリしてなぁ~」
「黙れ信玄」
『心配をお掛けして申し訳ありませんでした
お話は変わるのですが佐助くんは・・・・・』
「ただいま帰りました」
噂をしていれば忍者らしく音もたてずに佐助が帰ってきた
「織田勢は帰ったようです」
「そうか」
「悪運の強い奴だ」
燃え盛る本能寺から信長を
助け出したのが私だと知らない信玄は舌打ちをした
「葉月飲め」
『はい。頂きます』
信長の事を言うべきか迷っていると
謙信に酒を進められ隣に座った
「さて、どうする謙信?」
「・・・・安土に潜入する」
「では、おれは先に行って準備をしておきます」
「んじゃ俺も商いの準備でもすっか」
「幸、今回も可愛い小物を取り揃えてるぞ」
「女の相手すんの疲れるんだよな・・・
男の相手のほうが俺には向いてるわ」
「ドンマイ幸村」
苦虫を噛み潰した様な顔で大きなため息を吐く幸村に
佐助は無表情で肩を叩いていた