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兄は戦国武将〈イケメン戦国〉

第5章 お断り


『どうしましょう・・・・・』


途方にくれている間に火の勢いは増し
煙か辺りに充満してきた


『早く兄さまを起こして逃げましょうか』


階段から兄さまへと視線を向けると
そこには見知らぬ男が刀を振りかざしていた


『お止めなさいっ!』


信長の前に立ちはだかり男を睨み付けた


「退け。無駄な殺生はしたくない」


『お断りいたします』


「・・・・・なんの騒ぎだ?」


信長が目を覚ましゆっくりと顔を上げた
チイッと舌打ちをして男は身を翻し去っていった
ホッとしたのつかの間辺りは火の海になっていた


『早く逃げましょう』


打掛けを頭から被り兄さまの手を引っ張り
男が去っていった方向へと小走りに走り出した


「どこに向かっている」


『こういうところには
抜け道があるはずなのですが・・・・』


行き止まりの壁をコンコンと叩き確かめる


「貴様一体何を・・・」


『ありました』


一ヵ所だけ音が違う場所があり
グッと押すと壁が回転し道が出来た
急いで体を滑り込ませ壁をもとに戻した


「ほぅ・・・この様な物があったのか」


『感心している場合ではございません』


ここはまだ上階、早く外にでなければならない
この辺りに火がなくとも熱さで殺られてしまうだろう


漸く外に出て寺から離れて座り込んだ
新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込むと
ゴホゴホと咳き込んでしまった


『ひどい目に遭いました・・・・・』


「助かった。貴様名はなんと言う」


漸く咳が落ち着いたところで
後ろから声がかけられた
チラリと目線だけを向けると
信長が此方をじっと見詰めていた


『・・・・・葉月』


「葉月か貴様、天下人の女になる気はないか?」


『全力でお断りいたします』


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