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【ハリポタ】静かなる鎮魂歌【リドル】

第2章 兄妹


 リドルが再びあの男にあったのは、懐中時計を盗んだ日の翌日だった。この日は取りまき連中を談話室に置いて、1人図書館へ借りていた本を返しに行こうとしていた。
 その時ふと階段の上から聞こえてきた、鈴の音のような綺麗な声を耳にして、リドルは反射的にそちらを向いた。するときらめく金髪の少女が、なんと無防備にも階段の上から例の黒髪の男の腕の中に飛び込んだところだった。

「アリス!無茶をして具合が悪くなったらどうするつもりなんだ!」
「そんなに怒らないで。それに今日はとても具合が良いの」

 金髪の少女は、花のような笑顔で答えた。ハッキリ言って全く不釣り合いな2人に、リドルは呆然と見入ってしまった。すると少女がリドルに気づき、にっこりと微笑んだ。

「こんにちは、リドル。これから図書館へ行くの?」
「え?あ、ああ……」

 これまでこの少女と話した事なんてあっただろうか。しかし少女はまるで昔からの知り合いの様に馴れ馴れしくリドルに話しかけた。ネクタイを見ると、ハッフルパフ生の様だ。グリフィンドールの次に嫌いなハッフルパフ生に、知り合いなんていない。
 黒髪の男は、少女がリドルと親しくしている様子を見て不機嫌さを露わにした。

「アリス、こんな男と喋るな」
「あら、良いじゃない。もしかしたら私達の兄妹かもしれないのよ?」

 アリスと呼ばれた少女の言葉を聞いて、リドルの心臓はドキッと大きく飛び跳ねた。
 孤児として育ってきたリドルにしてみれば、親の情報は是非とも欲しいものだ。孤児院のシスター達からは、母は自分を生んだ時に、遺言として父親の「トム・リドル」と言う名をつけて欲しいと言って死んだと聞いていた。
 だから父親の事は名前以外何も知らない。だから聞きたい、父親はどんな人間だったのかを。

「行くぞ、アリス。こんな男にかまっているな」
「もう、お兄様の意地悪。じゃあね、リドル。また今度」

 アリスはリドルに微笑むと、手を振って黒髪の男について行った。
 また今度、か。本当に会えることがあるのだろうか。リドルには、アリスの姿を見た記憶はないと言っても過言では無い。
 でも、出来るなら会いたい、会って父親の詳しい話を聞いてみたい。リドルは一瞬図書館へ行くのを止めて2人を追おうとしたが、一瞬考え、諦めることにした。
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