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イケメン戦国 《短編集》

第4章 「愛らしく眩しい光」明智光秀


「むぅ…。
あっ!初日の出を見ましょう!光秀さん!!」

何やら唸っていたが、
次の瞬間にパッと顔を上げて瞳を輝かせながらそう言った。

「初日の出…?」
「はい。
新年初めの日に太陽が昇る時を見に行くことです。」

舞はそう言って何やら楽しそうにしている。
初日の出…考えたこともなかった。
今までも仕事の都合で何気なく見ることがあった。
だがそれを小娘はこんなにも楽しそうにしている。

俺には考えつかなかったことを、
小娘はいとも簡単に当たり前として考えていた。

「楽しそうだな」
「私、初日の出って今まで見たことないんです。
だから初めて見る初日の出を、
光秀さんと見れることが嬉しくて!」

その眩しい笑顔からは、
今まで以上に楽しみにしているということが、
ヒシヒシと伝わった。
何よりも「初めてを光秀さんと見れること」が、
とてつもなく嬉しいという舞が、
より一層愛らしくてたまらない。

「あぁ、分かった。
今日は夜更かしせねばな」

小娘がこれだけで『幸せ』と感じるのなら。
俺はとことん付き合ってやろう。
何よりも幸せと感じている瞬間を見たいから。

「ふふっ、楽しみですね!」
「そうだな。」


それから他愛のない話をして、
時間を過ごしていく内に段々と空が青白くなってきた。

「わぁっ!もうすぐですね!」
「そうだな」

段々と舞の顔がよく見えるようになってくる。
外はもうすぐ朝だ。

太陽が姿を現したとき、
舞が太陽を背にこちらを向いて
「光秀さん、明けましておめでとうございます」
とにこやかに、
まるで天女のような眩しい笑顔を見て、
あぁ…俺には眩しすぎる。この光が。
だが、手放してやるつもりはない、
この身が尽きるまで────。


【the end】
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