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イケメン戦国 《短編集》

第21章 「寒さなど吹き飛ばして」/明智光秀


「火鉢をつけて部屋を暖めていたとはいえ、
薄着なのはだめだろう。風邪を引いてしまうぞ」
「すみません……」
「ほら、こっちにおいで」

私の真正面に座った光秀さんが、
ぽんぽんと自分の膝を叩いている。
……これは光秀さんの膝の上に乗れということなのかな?
光秀さんの意図を理解して、
恥ずかしくなりながらも今日やっと愛しい人に触れられる喜びの方が勝り、
私はそっと光秀さんに近寄った。

「良い子だ」
「……っ」

間近に迫る光秀さんの端正なお顔が暗い中でも良く見えて、
つい目を逸らしてしまう。

「こら、どこを見ている?」
「ひゃっ……み、光秀さん!」

ぺろりと耳朶を舐められてびくりと肩が揺れる。
そんな私の様子を心底愉しそうに見ている
光秀さんの顔を見て、
やっぱり意地悪だと思いむっとして光秀さんを睨む。

「お前としては精一杯睨んでいるようだが、
俺からしたら愛らしいだけだぞ」
「もう……!」

面白そうにしている光秀さんの姿は相変わらず変わらないままで、
ちゅっと頬に口づけられる。

今日は何だか甘いような……?
いや意地悪なのは変わらないけれど、
どこか甘やかされているように感じる。
大体光秀さんの意地悪はこんなものではない。
……なら、どうして?

「お前は今日の大半を織田家縁の姫として頑張っただろう?」
「え……?」

私の疑問を読んだのか、
光秀さんがそっと告げた言葉に私は驚きのあまり言葉を失った。
そして理解するのにも少しだけ時間がかかった。

つまり光秀さんは頑張った私を褒めている……?
やっとたどり着いた答えに頬を赤く染めると、
光秀さんは『ようやく分かったか』と、
言わんばかりに優しくて温かい目線を送っている。
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