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イケメン戦国 《短編集》

第11章 「日向ぼっこ」猿飛佐助


佐助くんは四年前重症の謙信様を救い出したあと、
謙信様の忍びとして仕えることになった。
忍びの道を選んだのは、
私を探し出すためだと謙信様に聞いたことがあった。

そしてきっと、
私が考えるよりもずっと過酷な修行をしてきたのだろう。
私なんかのために……と思うと泣きたくなってくる。

「舞さん、日向ぼっこしようか」

顔に出ていたのだろうか?
佐助くんは心配そうな瞳をしていて、
「いいね!そうしよう」と私はニッコリと微笑んで、
心配をかけないように言った。

二人揃って色鮮やかな花畑に寝転んでそっと手を繋いだ。

「暖かいね、佐助くん」
「あぁ、すっかり春だ。
舞さんが戦国時代に来て一年経ったな」

佐助くんが真上を向いていた顔を、
私の方に向けてそう言ってくれた。

「そっか……。そんなに経ってたんだね」

感慨深いなぁなんて思ってしまった。
初めは早く帰りたかったのに。
佐助くんと一緒にいると、
この時代にいることが楽しくなって、
いつの間にか信長様や謙信様たちと仲良くなっていた。

ずっとずっと佐助くんに迷惑をかけてしまったかもと思っていたが。
よく考えると私も佐助くんに頼られなかったら少し悲しい気がする。

何気ない会話をしているうちに、
暖かい日差しに眠気が来てしまった。





「あれ…?いつの間にか寝ちゃってる」

俺の隣にいる最愛の彼女はいつの間にか眠っていた。
ずっとずっと四年間探し続けてきた彼女は、
一年前にこの時代に来てから、
俺と一緒にいてくれることが多かった。

だが立場上俺は信長様の敵側である謙信様の忍び。
あまりちょくちょく会いに行くことは出来なかったが、
いつでも彼女は俺を頼ってくれた。
その事にどれほど嬉しかったか彼女は知っているのだろうか。

四年間、
この時代を生き抜いてきて、
いつしか彼女が俺の心の支えになっていた。
辛いときも、悲しいときも、たくさんあったけど、
隣にいる彼女のことを思えばいつだって乗り越えれた。

すやすやと眠る彼女を抱き寄せて、
「もう、離さないから」

──だからこれからも一緒にいよう。
そう思って俺も目を閉じた。


【the end】
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