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イケメン戦国 《短編集》

第8章 「幸せな一日を」上杉謙信 《BD小説》


「そんなことはない。
…仕事の合間にも作ったのだろう、疲れてないか?」

不意に謙信様は私の頬にそっと手を添えて、
心配そうに眉を下げて見つめてくる。

「いえ。
今まで謙信様のお誕生日をお祝い出来ませんでしたから。
私、すっごく楽しみだったんです。」

ニッコリと本心から微笑んだら、
やっと謙信様は心から安堵したような顔をした。

「そうか…。ありがとうな、舞。大切に使おう」

「はい。
謙信様、これから佐助くん主催の誕生日パーティがありますから、
是非着て欲しいです。
……ダメ、でしょうか?」

そう言った瞬間、
謙信様は驚いた表情をしたが、
すぐに愛おしそうに目を細めて、
「良いだろう。
お前からの頼みだ断る訳にはいかん」
と、言ってくれた。
私は嬉しくなって抱きついてしまった。

「なんだ?お前からの誘いならば受けるが」
「ち、違いますよ!!
……着てくれることが嬉しくって…」

自分からしたことだが、
急に恥ずかしくなって謙信様から離れようとした。
……が。

「何を勝手に離れようとしている?」

グイッと腰を引き寄せられてしまった。

「あ、あの…?!
あともう少しでパーティが始まりますから!!」
「…仕方ない。
だが、終わったら覚悟しろよ?」

ギュッと抱き締められたかと思ったら、
不意に耳元に口が寄せられたかと思うと、
低い声で言われてしまったため体温が上がるのがよくわかった。

「うぅぅ///」
「フッ、可愛らしいな。
ほら、着替えて行くぞ。
今年はお前がいるからな、いい思い出になりそうだ」

スっと謙信様は立ち上がり、
そそくさと新しく作った羽織と着物を着てくれた。
まさかここで着替えるとは思わなかったが…。

「さぁ、行くぞ」

襖を開けてそっと手を差し出してくれた。
私はまた嬉しくなって、
謙信様の手に自分の手を重ねて、
浮き足立った心で皆の待っている広間へと向かった──。


【the end】
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