刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
――今宵、俺は彼女を抱くつもりはなかった。
何故なら修行に行く前に彼女の温もりに浸ってしまえば決心が鈍る、そう思ったから。
しかしそんな想いも彼女の大胆な行動と身体を前にしては我慢がならなかった。
我ながらこいつのこととなると堪え性がなさすぎると心中で失笑するが、何より修行に出てしまえばどれくらいの期間…少なくとも一年以上、正確には分からないがとにかくその間は彼女の姿を見ることも、触れることも叶わないんだ…
──修行に行く許可を貰うため、俺はきっちりと戦装束に身を包み彼女の部屋を訪れていた。
浴衣姿の彼女が少し申し訳なさそうにしているが、その目を真っ直ぐ見つめて思いを口にする。
「修行に行かせてくれ…」
あんたを守りたい。
その為に修行に行き、あんたの刀として帰ってくる。
先に修行に行き極めて帰ってきた短刀達…
遅れをとりたくない。
あんたの恋刀として何かあった時にあんたを守れるように、相応しくありたい、そう思った。
何年かかるか俺にも分からないが、必ず戻る。
俺の言葉を聞いた彼女は、とくに驚きもせず「わかりました…」と答えた。
強く決心した瞳の奥にかすかに宿る不安の色。