刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第36章 嵐の夜
「私は大丈夫…それに…くっついてた方が安心する…だからぎゅってしててもいい…?」
「………構わない」
そう言われて断れるはずがなかった。少し間があいてしまったのは致し方ない事だ…
ピトっとまたくっつかれて大倶利伽羅の体がピクリと強張る。
彼女は怖いからくっついているだけだ。
この柔らかい体に反応してはいけない。
まるで呪文のように己に言い聞かせた。
雷と強風の音がするたびに彼女の体がピクリと揺れ、大倶利伽羅を抱き締めている腕に力が入る。
そんな彼女の体を大倶利伽羅も抱き締め返そうとするも…
歯止めが利かなくなりそうで躊躇してしまった。
ただ隣で寝ているだけならいざ知らず、愛しい相手がぴったりと体をくっつけているこの状況。そして隣には近侍もいないときた。
薄い布越しに感じる温もりと甘い香り…
何度もこのベッドの上で抱いた記憶が鮮明に甦る。
何よりも、閨での彼女が大倶利伽羅を呼ぶ甘い声と肌の柔らかさ。そして自身の欲望を包み込む彼女のナカの心地よさを彼は知り過ぎていた。
鋼の精神力を持つ大倶利伽羅でさえこの欲望に打ち勝つのはあまりにもきつい状況だ。
勃ち上がりそうになる雄を必死に宥める時間が続く。