刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
「俺がいたからアイツは部屋に戻ったんだろ」
ピー ピー ピー ピー
4台分のオーブンの音が厨に響いた。
クッキーが焼けたみたいだ。クッキーを取り出していたら今度はやかんの笛がピーーーッと鳴った。
火を止めてカップ麺にお湯を注いで、国広くんの前に置く。
「今から3分ね、ところでアイツって大倶利伽羅さん?」
「ああ、あんた達の逢瀬を邪魔した」
「や、違う違う!!別に約束してたわけでもないから気にしないで」
「こんな大所帯だと、なかなか二人になれないと思うからな。邪魔して悪かった」
「だからさっきは約束してたわけじゃないから気にしないで!」
国広くんはそれならいいが…と言って、手を合わせてから出来上がったカップ麺を食べ始めた。
「うまいな…久々に食べた。昔はたまに一緒に食べたな」
審神者になりたての頃、たまに国広くんとカップ麺を食べたのを思い出した。光忠が来てからは自然と食べなくなっちゃったけど、国広くんと二人っきりの時は忙しくてご飯作る時間がなかったり、へとへとの時などカップ麺が重宝したものだ。
「美味しいよね?こんなに美味しいのに歌仙と光忠は体に悪いって言うんだよね~だから執務が長引いたときとか、たまーにこっそり夜食として食べてるんだ!」
「うるさいのはあんたを想ってのことだろう」
「そうなんだけど、たまに食べたくなると思わない?」
「まあ、それはわかるな」
さすが国広くん!また食べたくなったらいつでもあげるねと言うと、ああ頼む、と少し嬉しそうに答えた。
国広くんがカップ麺を食べ終えて部屋に戻っていき、再び厨に静寂が戻った。