刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第42章 神酒 ―番外編―
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意識がはっきりした時にはもう朝日が昇っていた。
昨晩…、ついさっきまで及んでいた情事が頭にこびりついている。
何度も何度も、彼女を喰らい尽くした自覚があった。
直ぐさま自責の念に駆られるも、隣には俺の神気を色濃く纏い、いつかと同じように…いや、それよりもはっきりと髪の毛先が赤くなっている彼女の姿。
瞼で閉じられている瞳は今は見ることはできないが、おそらくその瞳も俺と同じ色に染まっていることだろう。
彼女の頬を軽く撫でてから赤く染まった髪の先をさらりと指に通すと、小さく呻き身動ぎするも起きる様子はなかった。
無理もない…
こいつを求めて部屋に辿り着いてから、雪崩れるように行為に及んだんだ。
かなり無理をさせた上に、互いに汗と体液に塗れたまま寝てしまったことに深く反省するも…
白い刀が頭に浮かんだ。
元はと言えば、あいつのせいだ。
ち、と軽く舌打ちしたところで庭の方から叫び声が聞こえた。
ギャアアアアアアッ!!
何度も聞き覚えがあるその叫び声に、起き上がろうとしていた体がはたと止まる。
「つるまるくにながァァァァ!!!」
長谷部の声だ。恐らく国永の仕掛けた落とし穴にまた落ちたのだろう。一体何度目だ。なぜこうも同じことを繰り返すのか…