ボーダー最強が暗殺教室に通うことになったみたいで。
第5章 椚ヶ丘中学三年E組 通称ー暗殺教室ーでの任務開始
「佐々原優希。15歳で男。喧嘩が得意で勉強嫌い。…これで文句あるか?」
ため息をつき、あらかじめ準備しておいた答えを口にする。嘘が一つ入っているけど。
やっぱり赤髪は疑っている。まあ、当たり前だろう。異様に喧嘩強い(?)し、いきなり転校してくるし。
「へぇ~。暗殺者じゃないの?」
「んなわけないだろ」
だってボーダーだし。
「本当に?」
「だからそんなわけない、って言ってるだろ。こそこそと闇討ちするより正面からやり合う方が僕に向いてるし。殺し屋の組織的なものに入っているけど」
ボーダーという名の、ね。
心の中でそう思った瞬間、赤髪が笑顔(しかし目は笑っていない)で衝撃発言を。
「てっきり女暗殺者だと思ってたんだけどな~」
「んなわけ…女?」
は?え?何で?
驚きすぎて、卵焼きが箸から落ちた。弁当箱でキャッチしたけど。
「どうしてそう思うんだよ。僕の名前は確かに女っぽいけどさ。水色髪…渚ってやつだっけ?そいつの方がよっぽど女っぽいだろ。名前も、姿も」
慌てて、でも表情は変えずに淡々と言い返す。
内心、結構「ヤバイ」って思ってる。
そんな内心を知ってか知らずか、赤髪は変わらず笑顔で答える。
「だって男子にしては細かったし」
は?
「髪も長いし、声少し高めだし」
はぁ?
「意味わかんない。それだけで女扱いすんな。迷惑だし、気分が悪い」
そう吐き捨てつつ弁当を食べ終わった僕は、「用がない」という感じを出し、教室へ。
真っすぐ自分の席に向かい、ヘッドフォンをとる。生徒たちは一瞬僕の方を見たが、すぐ話に戻っていった。
保健室に戻った僕は、スマホの中に入っている入夏月華さんの曲を聴く。もちろん、ベッドに潜って。
ここでも教室の異変くらい気づけるはずだし、疲れた。任務は遂行するけど、授業は休む。ちゃんと任務はしてるからいいんだ。
「はぁ~。もう最高。流石入夏さんだよ。かっこいい。最高(二回目)」
ベッドに潜って曲を再生して、曲が流れた瞬間の僕の台詞。いや、だってかっこいいし。
まあ、この様子を見て赤髪がドン引きしたことを僕は知らない。
「元気にしてるかな、月華さん」
という一言も聞こえなかった…と思う。