第10章 仕事と自立と、喧嘩と鯛と
「ご馳走さま」
相変わらず、異様なスピードで食事を終えたカカシ。
「ちょっと、外出てくるね」
『…はい』
いつもなら、こんな時間に唐突に出掛ける事はない。やはり怒っているのだろう。
ミナトの家からの帰り道で話してから、ずっとあの調子だ。
「…カカシと何かあったのか?」
見かねたサスケが声をかけてくれる。
『どうしよう…私…はたけさんの事、怒らせちゃったみたい』
あまりに切羽詰まった私の様子に、サスケは慌てたように言った。
「わ、分かった、とりあえず俺の部屋に行くぞ」
私たちはリビングを後にして、サスケの部屋へ移動。二人してこの部屋に入るのは二度目だ。
「で、何があった?」
『…今日は色々あったの。えっと…要約すると、
私、ミナトさんに口寄せされて、プロポーズされたからはたけさんの為に彼と結婚を』
「待て待て待て!おっ、おっ落ち着け!!」
『サスケ君がね!?』凄いどもってるよ!
こんなにも動揺、困惑するサスケを見るのは初めてかもしれない。
「要約とかはやめろ。全部話してくれ。心臓に悪い」
『う、うん。分かった…』
私は今日、カカシとサスケが家を出てからの出来事を出来るだけ詳細に話した。
「なんとなく分かった。
カカシが、エリに怒った理由が」
『え、本当に?』
サスケには、カカシが怒った理由が容易く分かってしまうらしい。やっぱりそれだけ付き合いが長いという事だろうか。