Happy Birth Tea(進撃の巨人)《リヴァイBD》
第1章 移動販売カフェ
『いらっしゃいませ~!美味しい紅茶はいかがですか~!』
ウォールローゼにあるシーナ寄りの商店街の隅にあるのは小さな移動式カフェ「グロリア」。
『寒い日にぴったりなホットティーはいかがですか~?』
小さな移動式カフェのオーナーはフユ。
木製のトレーの上に小さめの紙コップを並べ、フユ自慢の紅茶を注ぐ。ひょいっと手の平にトレーを乗せると通りすがりの街の人に配っていく。
完全な冬の訪れはきてないとはいえ、木枯らしが吹く季節に街ゆく人は、フユが配る紅茶を嬉しそうに受け取っていく。
『おぉ~これはありがたいねぇ』
『おじいさん寒いから風邪引かないようにしてくださいね!あっ!このクッキーお家でおばあさんと召し上がってください!』
『おやおや、売り物なのにいいのかい?ありがとう』
手の平に納まる程の小さな包みをおじいさんに手渡すと、おじいさんは何度もお辞儀をしながらその場を去っていった。
フユはその様子を笑顔で手を振って見送った。
『おい…お前は馬鹿か?』
トレーの上にあった最後の紙コップがなくなったと思い、声の方を見ると不機嫌そうなリヴァイが紙コップを掴んでフユの顔に近づける。
少し熱くなったカップの熱が額に伝わりフユはあちっ!っと額を摩る。
『リヴァイ、熱くなったカップを人に近づけるのは危険だ』
『そうだよ~可愛いフユのおでこが火傷しちゃうからね』
『スンスン…フユの匂いはいつもいい香りだな』
『おい、ミケ…毎度毎度フユの匂いを嗅いでんじゃねぇ!』
自由の翼を背中に宿した面々。
リヴァイ、エルヴィン、ハンジ、ミケがグロリアに集まっていた。
『調査兵団の皆さん、いらっしゃいませ!!』
『いらっしゃいませ…じゃねぇぞ。お前、また紅茶や菓子を配ってんのか…?売り物だろうが…』
『だって寒いじゃないですか。お菓子も今朝焼いた物ですしきっと美味しいはずですよ』
『そういうことじゃねぇ…。売り物を簡単にタダでやるなって話だ。その紅茶や菓子の材料だって経費がかかってるはずだ。そんな配ってばっかじゃぁ…店潰れるぞ』