第1章 はじまり
『おまえは、この国に王女がいるのは知ってるか?』
アランは説明してくれるみたいだ。ちょっとだけホッとする。
「それは知ってますよ?この国に住んでいるのなら、誰でも知ってることですよ?」
流石にバカにされているのかと思って、つい聞き返してしまった。
だが、アランは真剣な表情でこっちを見ている
どうやら嘘では無いようだ
『そりゃそうだよな。』
『じゃあ、王女様のこと見たことあるか?』
「えっ?当たり前だよ?……あれっ…??」
勢いよく言ってみたわ良いものの思い出せない??
『どんな顔だとか分かるか?』
それはわかるよ。さっきここの部屋を見たときに見たじゃない。王様、王妃様、王子様、そして王女様の写真を見たのだからね!
???
あれ?
王女様だけ絵だった…?
いやいや、それでも顔ぐらい分かるはず。なのに思い出せない?
部屋の中を一周見渡す。
写真を順番にみていく。
王女様だけが絵で書かれている。
しかも、顔だけが書かれていない。
なんで??
「……思い出せない。分からないの…」
暫くの沈黙の中アランが話を進めた。
『そうだ。それで正解だ。』
『この国の王女様はこの国の民に姿を見せたことがないからな』
嘘だ!姿は思い出せないけど、王女様が姿を見せたことないなんて聞いたことない
「そんなこと聞いたことないよ?なんで?」
『何でまでは、俺もしらねぇよ。だが、姿を見せたことがない。そして、今日この城から姿を消した。』
こんな話を私にして良いものなのだろうか?
「何で私に教えるの?連れてこられたことと関係あるの?」
何が起こるのか私には全く見当もつかない。
アランが一度目をそらして、またこっちを向いて言ってきた。
『あぁ。関係あるんだ。』